2025年版 フロントエンドパッケージマネージャー比較と選定

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能戸 成琉Software Engineer
2025年版 フロントエンドパッケージマネージャー比較と選定

こんにちは!エンジニアの能戸 成琉です。ご覧いただきありがとうございます!

本記事は、実案件で「パッケージマネージャー、結局どれにする?」が議題に上がったのをきっかけに、候補を洗い出して比較・検証し、最適解と最新トレンドをまとめたものです。

冒頭は初学者向けの前提整理なので、すでにご存じの方は必要に応じてスキップしてもらえると嬉しいです。

パッケージマネージャーとは?役割について

パッケージマネージャーとは

フロントエンド開発では、ReactやVue.js、jQueryのようなライブラリを使って開発を行います。パッケージマネージャーは、これらの外部ライブラリを「パッケージ」として自動でダウンロード・インストール・管理してくれるツールです。

パッケージマネージャーの役割

主な役割としては、以下の3つが該当します。

ライブラリの自動インストール: プロジェクトで使用するライブラリやフレームワークのインストール、更新、削除を自動化します。

チーム間でのバージョン統一: 各パッケージのバージョンを記録し、チーム全体で同じバージョンを使用できるよう保証します。これにより「私の環境では動くのに」という問題を防げます。

関連ライブラリの自動解決: パッケージAがパッケージBに依存している場合、必要な依存関係を自動的に解決してインストールします。複雑な依存関係も適切に処理されます。

主要なフロントエンドパッケージマネージャー

npm(Node Package Manager)

Node.jsに最初から付属する最も歴史の長いパッケージマネージャーです。

主な特徴

  • 導入の手軽さ: Node.jsをインストールすれば自動で使える
  • 情報の豊富さ: 最も利用者が多いため、エラーの解決方法がすぐ見つかる
  • 安定性: 長年使われ続けているため、予期しない問題が起きにくい
  • 速度の課題: パッケージのインストール時間が他のツールより長い
  • 容量の問題: 同じライブラリが複数のプロジェクトで重複保存される
  • モノレポ対応: 基本機能のみ。本格的な運用にはLernaなど外部ツールが必要

※モノレポ:複数のプロジェクトを1つのリポジトリで管理する手法

yarn(Yet Another Resource Negotiator)

npmの速度や安全性の問題を解決するために2016年に開発された代替パッケージマネージャーです。

⚠️ バージョンによって大きく異なる

Yarn v1(Classic): npmと似た使い心地で、主に速度改善が目的

Yarn v2以降(Berry): 全く新しい仕組みで、従来のnode_modulesフォルダを使わない

主な特徴

  • 高速インストール: 並列処理により、npmより速くパッケージをインストール
  • 厳密な管理: yarn.lockファイルで依存関係を正確に記録
  • モノレポ対応: v1から標準でワークスペース機能を搭載、v2以降はさらに強化
  • Plug'n'Play(v2以降):ディスク容量を大幅削減する新技術

pnpm(Performant npm)

ディスク効率と速度を追求した比較的新しいパッケージマネージャーです。

主な特徴

  • 圧倒的な容量節約: ハードリンク(同一ファイルを複数の場所から参照し、実体は1つだけ保存する技術)で、最大70%のディスク容量を削減
  • 高速処理: pnpm独自の仕組みで、yarnよりも速いインストール速度を実現
  • 厳格な依存関係: 「幽霊依存」(package.jsonに宣言していないのに使えてしまうパッケージ)を防ぐことで、より安全なプロジェクト管理が可能
  • モノレポ対応: 標準でワークスペース機能を搭載、効率的なモノレポ管理が可能

bun

パッケージマネージャーだけでなく、JavaScript実行環境、バンドラー、テストランナーまで全てを一つにしたオールインワンツールです。Zigプログラミング言語で書かれており、2022年にリリースされた最も新しいツールです。

主な特徴

  • 圧倒的な速度: 他のツールと比べて10倍以上高速な場合もある
  • 多機能性: パッケージ管理以外にも、コード実行やビルドまで対応
  • TypeScript標準対応: 設定なしでTypeScriptコードを直接実行できる
  • モノレポ対応: ワークスペース機能を標準搭載
  • 発展途上: まだ新しいツールのため、既存プロジェクトで互換性問題が発生する可能性

パッケージマネージャーの比較

人気・コミュニティの規模

GitHub上のスター数の推移をグラフ化した結果から、各ツールの人気度を比較できます。

最も注目すべきはbunで、2022年後半から驚異的な成長を見せています。わずか2年で約7.3万スターを獲得し、他のパッケージマネージャーを大きく上回りました。bunは単なるパッケージマネージャーではなく、高速なJavaScriptランタイムとしても機能するため、開発者の間で大きな話題となっています。

yarnは、2016年頃からFacebookによって開発され、初期の急激な成長を経て現在は約4.2万スターで安定しています。yarnはnpmの代替として登場し、高速なインストールと信頼性の高い依存関係管理で人気を博しました。なお、現在のyarnはv2(berry)へと大幅にアーキテクチャが刷新されており、従来のv1とは別物として開発が進んでいます。

pnpmは最も着実な成長を続けており、現在約3.1万スターに達しています。効率的なディスク使用とモノレポサポートが評価され、企業での採用も増えています。特に近年は、bunほど派手ではないものの確実にスター数を伸ばしており、開発者コミュニティでの認知度と信頼性が高まっていることがうかがえます。

npmはNode.jsの標準パッケージマネージャーとして約0.8万スターを維持しており、新機能よりも安定性を重視する開発者に支持されています。

パフォーマンス比較

以下は実際のプロジェクトでのパッケージインストール速度を測定したベンチマーク結果です(出典:https://github.com/edbzn/package-manager-benchmarks/blob/master/benchmarks.md

action

cache

lockfile

node_modules

npm

pnpm

yarn v1

yarn v2

bun

install

19.6s

4.8s

5.6s

2.2s

1s

install

⚪︎

⚪︎

⚪︎

968ms

587ms

1s

n/a

26ms

install

⚪︎

⚪︎

3.8s

1.4s

2.7s

862ms

326ms

install

⚪︎

6.3s

3.6s

3.8s

1.9s

323ms

install

⚪︎

5.7s

2.8s

2.7s

867ms

331ms

install

⚪︎

⚪︎

1.1s

1.2s

2s

n/a

26ms

install

⚪︎

⚪︎

951ms

564ms

1s

n/a

23ms

install

⚪︎

1.1s

2.7s

2s

n/a

23ms

update

956ms

2.6s

7.8s

2.7s

26ms

Bunは全シナリオで圧倒的な速度を実現し、他のパッケージマネージャーを大幅に上回る最速のパフォーマンスを提供しています。

Yarn v2はnpmと比較して大幅な高速化を実現し、安定性と速度のバランスが優れた実用的な選択肢となっています。

pnpmはnpmより一貫して高速で、特にキャッシュ活用時の効率が良く、信頼性の高い安定したパフォーマンスを提供します。

Yarn v1は初回インストールではnpmより高速ですが、アップデート処理では逆にnpmより遅くなる傾向があります。

npmは初回インストールで最も時間がかかりますが、アップデート処理は他と比較して意外に効率的で、互換性は最も優れています。

速度重視ならBun、安定性重視ならpnpm、互換性重視ならnpmが最適解といえるでしょう。

ユースケース・技術選定基準

技術選定の候補

bun

現在開発が非常に活発なパッケージマネージャーです。まだ発展途上のため、予期しないエラーが発生することもありますが、コミュニティの対応は早く、今後の成長が期待されています。現時点では大規模開発には慎重な判断が必要ですが、小規模なプロジェクトであれば十分に選択肢となります。

yarn berry

性能面ではbunに次ぐ印象です。最大の特徴は「Plug'n'Play(PnP)」という依存解決の仕組みで、これによりパッケージ構成が簡潔になります。ただし、従来のnpmやyarn v1とは依存管理の方法が異なるため、導入時にはチーム全体でのキャッチアップが必要です。新しい技術への適応に抵抗がなければ、有力な選択肢といえます。

pnpm(推奨)

npm互換のパッケージマネージャーで、依存パッケージの管理が効率的なのが強みです。大規模プロジェクトへの導入実績も多く、安定した運用が期待できます。パフォーマンス面ではbunやyarn v2に若干劣るものの、実用上大きな問題は感じません。特に将来的なプロジェクトの拡大を見据えている場合は、pnpmを選ぶのが堅実です。

おわり

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は、実際の技術選定においてどのパッケージマネージャーが最適かをリサーチ・検証し、その結果をまとめました。少しでもお役に立てば幸いです🙌

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記事を書いた人

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能戸 成琉

Software Engineer

ベンチャー企業でフルスタックエンジニアをしながら、フリーランスとしてWebアプリケーションの開発・運用支援や技術記事の執筆を行っております。